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2022.09.06

糖尿病のある人は糖尿病のない人に比べてスティグマを感じている(2022年9月2日)

2022年9月2日
関西電力病院/関西電力医学研究所

糖尿病のある人は糖尿病のない人に比べてスティグマ*1を感じている

【ポイント】
*糖尿病のある人は、糖尿病はないが他の生活習慣病(高血圧、脂質異常症、高尿酸血症)のある人に比べて
スティグマを感じているかを検討しました。
*生活習慣病のある人が受けるスティグマを広く評価するため、関西電力医学研究所でオリジナルのスティグマ質問票を開発し、信頼性と妥当性*2を確認しました。本質問票をKISS(Kanden Institute Stigma Scale)と命名しました。
*KISSのスコアは糖尿病のある人は糖尿病のない人と比べて有意に高値であり、糖尿病のある人はスティグマを強く受けていることが明らかになりました。

【概要】
ある人に糖尿病があるというだけで、自己管理ができない人、不摂生している人、様々な合併症で長生きできない人というステレオタイプのレッテル張りをされ、社会的・経済的・心理的に不利益を被っている方がいます。実際、糖尿病があるというだけで、住宅ローンを組めなかった、生命保険に加入できなかった、就職・昇進、結婚に不利に働いたという経験をされた方もいます。このような糖尿病がある人に対する言われなき汚名、偏見、差別を糖尿病スティグマといいます。日本糖尿病協会では、日本糖尿病学会とともに糖尿病スティグマ撲滅のための活動(アドボカシー*3活動といいます)を展開しています。そこで、糖尿病のある人は、糖尿病はないが他の生活習慣病(高血圧、脂質異常症、高尿酸血症)のある人に比べてスティグマを強く感じているのかを調査することを目的として、関西電力医学研究所 所長/関西電力病院 総長 清野 裕、同研究所 糖尿病研究センター 代謝・栄養研究部 部長 浜本芳之、同研究所 特別研究員 田中永昭らの研究グループは、生活習慣病のある人がスティグマをどの程度感じているかを評価する質問票を独自に開発し、その信頼性と妥当性を検証しました。はじめに、24個の質問で構成されるスティグマ質問票を作成し、KISS (Kanden Institute Stigma Scale)と命名しました。続いて、糖尿病のある人と糖尿病はないが他の生活習慣病(高血圧、脂質異常症、高尿酸血症)のある人にKISSを回答してもらったところ、KISSは高い信頼性と妥当性を有することが確認できました。
今回作成したKISSを用いると、糖尿病のある人は、糖尿病のない人に比べてKISSのスコアは有意に高く、スティグマを強く感じていることが明らかになりました。本研究により、糖尿病のある人にとって、スティグマは他の生活習慣病のある人よりも重大な問題であり、糖尿病スティグマの問題を医療従事者はもちろん、社会全体に訴えかける必要性が示唆されました。

本研究成果は、2022年9月1日にアジア糖尿病学会機関誌「Journal of Diabetes Investigation」(オンライン版)で公開されました。

詳しくはこちら→KISS プレスリリース

スティグマ質問票(KISS)はこちら→スティグマ質問票 KISS

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