糖尿病研究センター 代謝・栄養研究部

部長     浜本 芳之
Director   Yoshiyuki Hamamoto, MD, PhD

関西電力医学研究所 糖尿病研究センター 代謝・栄養研究部 部長
関西電力病院 糖尿病・代謝・内分泌センター 部長
関西電力病院 疾患栄養治療センター センター長

研究部概要

糖尿病研究センターでは、糖尿病をはじめとする代謝疾患、内分泌疾患の病態解明、新たな予防法や診断法、治療法の確立に資する研究を推進することを目的に研究を展開しています。糖尿病研究センターの代謝・栄養研究部では、摂取栄養素が肝臓や骨格筋などの臓器代謝にどのような影響を与えるのか、腸管への栄養素流入が刺激となって分泌されるインクレチンなどホルモンのシグナルがどのように代謝に影響しているのか、といった、栄養と臓器代謝連関を研究し、治療への応用の可能性を探ります。また、膵β細胞の増殖・再生に関わる因子の解明など、グルコース代謝のキーファクターであるインスリンの分泌についても、新たな治療応用の可能性を見据え研究を進めています。

研究テーマ

①摂取栄養と全身-臓器代謝連関

(背景ならびに研究方法)
 
食事中の三大栄養素、すなわち炭水化物・たんぱく質・脂質はそれぞれ生体維持において重要な役割があります。たとえば炭水化物は、食事の中でも最も基本的な栄養素で、生体エネルギー代謝の根幹となる生命維持に必須の栄養素ですし、たんぱく質は細胞の構成成分や酵素の材料として不可欠です。これらの栄養素の摂取量と代謝・排泄量のバランスは、生体維持に極めて重要ですが、例えば摂取エネルギーの低下や、摂取栄養素バランスが大きく変化すると、全身のさまざまな臓器の代謝に影響を及ぼすことが想定されます。糖尿病や肥満症などに対して、炭水化物制限食や脂質制限食の是非が取りざたされていますが、これらの栄養素の制限が全身の代謝や、臓器や細胞レベルでの代謝にどのような影響を与えるかははっきりしたエビデンスがないのが現状です。当研究部は、摂取する栄養素の量やエネルギー比率が、全身の代謝、臓器レベルでの代謝にどのような影響を及ぼすかを検討し、エビデンスを構築することによって、さまざまな代謝性疾患や加齢に伴う疾患・機能異常への有効で安全な治療につなげることを目的としています。
 
研究中課題:
①生体における炭水化物の摂取・排泄バランスが臓器に与える影響のメタボローム解析とインクレチンの関与の解明
②高齢者糖尿病におけるサルコペニアの有症率と栄養摂取量および運動機能との関連研究
③高齢2型糖尿病患者におけるビタミンDとサルコペニアの関連の検討

②膵β細胞の増殖・再生

(背景ならびに研究方法)
 
糖尿病の病因は絶対的、あるいは相対的なインスリン不足です。2型糖尿病でも発症したときにはすでに膵β細胞量が50%程度に減少しているといわれ、特に日本人を含めたアジア人では欧米の白人と比較してインスリン分泌不全が主体であることが多いのが特徴です。膵β細胞からのインスリン分泌を維持する、あるいは膵β細胞量を増殖や再生などで増加することが出来れば、糖尿病は治る病気になります。
膵β細胞量のコントロールには様々な因子が関わっており、ブドウ糖や、インスリン、インクレチンなどのホルモンなど液性因子、そして神経系などが複雑に絡み合っていると考えられます。インスリン需要が増大すると、肝臓や脂肪組織、腸管、筋肉などから膵β細胞の増殖や再生を促進する因子が放出されると考えられますが、いまだ全容は解明されていません。本研究所では、GIPやGLP-1などのインクレチンが膵β細胞の増殖や再生に及ぼす影響のほか、インクレチン以外の液性因子についても研究を進めていきます。

最近の代表的な論文

著者 論文題目
Yabe D, Kuwata H, Fujiwara Y, Sakaguchi M, Moyama S, Makabe N, Murotani K, Asano H, Ito S, Mishima H, Takase H, Ota N, Seino Y, Hamamoto Y, Kurose T, Seino Y. Dietary instructions focusing on meal-sequence and nutritional balance for prediabetes subjects: An exploratory, cluster-randomized, prospective, open-label, clinical trial.
Hirasawa Y, Matsuki R, Ebisu T, Kurose T, Hamamoto Y, Seino Y. Evaluation of skeletal muscle mass indices, assessed by bioelectrical impedance, as indicators of insulin resistance in patients with type 2 diabetes.
Yabe D, Iwasaki M, Kuwata H, Hraguchi T, Hamamoto Y, Kurose T, Sumita K, Yamazato H, Kanda S, Seino Y.  SGLT2 inhibitor use and dietary carbohydrate intake in Japanese individuals with type 2 diabetes: a randomized, open-label, 3-arm parallel comparative exploratory study.
Tanaka N, Yabe D, Murotani K, Ueno S, Kuwata H, Hamamoto Y, Kurose T, Takahashi N, Akashi T, Matsuoka T, Osonoi T, Minami M, Shimono D, Seino Y; Positive SMBG Study Group Investigators. Mental distress and health-related quality of life among type 1 and type 2 diabetes patients using self-monitoring of blood glucose: A cross-sectional questionnaire study in Japan.

 

2019年度業績

原著論文(英語/日本語)

著者 タイトル 掲載誌名
掲載号等・掲載年
Yabe D, Kuwata H, Fujiwara Y, Sakaguchi M, Moyama S, Makabe N, Murotani K, Asano H, Ito S, Mishima H, Takase H, Ota N, Seino Y, Hamamoto Y, Kurose T, Seino Y. Dietary instructions focusing on meal-sequence and nutritional balance for prediabetes subjects: An exploratory, cluster-randomized, prospective, open-label, clinical trial. Journal of diabetes and Complications
2019 Dec;33(12):107450.
Hirasawa Y, Matsuki R, Ebisu T, Kurose T, Hamamoto Y, Seino Y. Evaluation of skeletal muscle mass indices, assessed by bioelectrical impedance, as indicators of insulin resistance in patients with type 2 diabetes. Journal of Physical Therapy Science
2019; 31(2): 190-194.
Yamada Y, Katagiri H, Hamamoto Y, Deenadayalan S, Navarria A, Nishijima K, Seino Y; PIONEER 9 investigators. Dose-response, Efficacy, and Safety of Oral Semaglutide Monotherapy in Japanese Patients With Type 2 Diabetes (PIONEER 9): A 52-week, Phase 2/3a, Randomised, Controlled Trial Lancet Diabetes & Endocrinology
in press.

 



メンバー

部長 浜本 芳之
センター長 山田 祐一郎
上級特別研究員 福島 光夫
上級特別研究員 山崎 裕自
上級特別研究員 遠藤 隆之
上級特別研究員 茂山 翔太
特別研究員 田中 永昭
特別研究員 松木 良介
特別研究員 平澤 良和
特別研究員 清水 忍
特別研究員 江藤 博昭
研究員 和泉 清拓
研究員 山口 裕子
研究員 原口 卓也
研究員 中谷 晋
研究員 松原 実穂
研究員 真壁 昇
研究員 森口 由香
客員研究員 岡本 紗希
客員研究員 窪田 創大
センター長 
(兼)糖尿病地域医療推進センター 部長
黒瀬 健