2024.12.11
【研究概要】
関西電力医学研究所 糖尿病研究センター/関西電力病院 糖尿病・内分泌代謝センターは、特定臨床研究「2型糖尿病患者におけるイメグリミン、メトホルミンのインスリン分泌・抵抗性に対する影響の検討」を実施し、2型糖尿病の治療薬であるイメグリミンが、類似の構造式を有するメトホルミンとインスリン分泌・インクレチン分泌において異なった作用を示し血糖を改善させることを世界で初めて報告しました。
2021年に本邦で上市されたイメグリミンは、その化学構造上従来から使用されてきた糖尿病治療薬であるメトホルミンに似た骨格をもっていますが、動物実験の結果から、インスリン分泌を増やすなど異なった作用を有することが実験的に報告されていました。本研究ではイメグリミン投与によりインスリン分泌のみならず、インクレチンの1種であるGLP-1、GIPの分泌が増加しており、またインスリン分泌の増加量はGLP-1やGIP分泌の増加量と有意に相関していました。このことから、イメグリミンはインスリン分泌、インクレチン分泌においてメトホルミンと異なった作用を示し、イメグリミンによるインスリン分泌促進作用にインクレチン分泌増加が関与している可能性を示唆する初めての報告となります。
本研究成果は、2024年11月26日にDiabetes, Obesity and Metabolism誌のオンライン版で公開されました。
【本研究のポイント】
・近年登場した糖尿病治療薬のイメグリミン(ツイミーグ®)は従来から使用されてきた糖尿病治療薬であるメトホルミンと似た構造式を持っていますが、インスリン分泌に対する影響など異なった作用を有する可能性が基礎研究では示唆されていました。
・本研究では、2型糖尿病患者40名にイメグリミン、あるいはメトホルミンを内服していただき、開始前後にブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い詳細に解析することで、メトホルミンはGLP-1の分泌を増やす一方、イメグリミンはインスリン、GLP-1、GIPの分泌を増やし両者の作用の違いを明らかにしました。
・本研究によりイメグリミンによるインスリン分泌機構に、インクレチンの関与が示唆されました。
【本研究への支援】
本研究は、住友ファーマ株式会社より研究費の助成を受けました。
【研究者プロフィール】
責任著者・筆頭著者
臼井 亮太 (うすい りょうた)
関西電力医学研究所 糖尿病研究センター 上級特別研究員
関西電力病院 糖尿病・内分泌代謝センター 医長
【連絡先】
関西電力医学研究所 糖尿病研究センター
臼井 亮太
E-mail: usui.ryota@a5.kepco.co.jp
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