2021.08.06
2021.08.04
「糖尿病療養指導カードシステム」等の教育ツールを用いた糖尿病教育・支援の充実
は患者さんの血糖コントロールを改善する
【ポイント】
*教育ツールを用いた糖尿病教育・支援の充実が、インスリン注射と自己血糖測定
(SMBG)を実施している2型糖尿病患者さんの血糖コントロールや治療に関する生活
の質(QOL)に与える効果をランダム化比較試験という手法で検討しました。
*本研究では糖尿病教育・支援の充実のため、日本糖尿病協会が質の担保された糖尿
病教育を普及するために開発した「糖尿病療養指導カードシステム」とSMBGの測定結
果をグラフ表示して日々の血糖推移や治療方針について患者さんと医師の会話を支援
する「SMBGビューワー」を用いました。
*種々のツールを用いた糖尿病教育・支援の充実を行った群では、HbA1cが有意に改
善されましたが、従来の教育・支援を行った群では改善は認められませんでした。
【概要】
近年、糖尿病治療における教育・支援の重要性がなお一層強く認識されています。今
回、関西電力医学研究所 所長/関西電力病院 総長 清野 裕、同研究所 副所長
矢部 大介、同研究所 特別研究員 田中永昭らの研究グループは、教育ツールを
用いた糖尿病教育・支援の充実が、インスリン注射と自己血糖測定(SMBG)を実施中
の2型糖尿病患者さんの血糖コントロールや治療に関する生活の質(QOL)に与える効
果をランダム化比較試験という手法を用いて検討しました。インスリン注射とSMBGを
3か月以上実施している2型糖尿病患者さんで研究の趣旨を理解して協力してくれる方
を、医師が教育ツールを用いた糖尿病教育・支援を実施する群(介入群)と従来通り
の糖尿病教育・支援を実施する群(対照群)の2群にランダムに割付けました。介入
群では、日本糖尿病協会が質の担保された糖尿病教育を普及するために開発した「糖
尿病療養指導カードシステム」とSMBGの測定結果をグラフ表示して日々の血糖推移や
治療方針について患者さんと医師の会話を支援する「SMBGビューワー」を用いて、定
期診察ごとに医師が教育・支援を行いました。対照群では、こうしたツールを用いず
に従来通りの教育・支援を医師が定期診察ごとに行いました。介入群では、試験開始
前に比して試験開始6か月後のHbA1cは0.3%有意に低下しましたが、対照群では有意
な改善を認めませんでした。治療に関するQOLは介入群、対照群共に試験開始前と試
験開始6か月後で有意な変化を認めませんでした。興味深いことに、介入群では試験
開始前と試験開始6か月後でSMBGが重要であるという認識が変わらない一方、対照群
ではSMBGが重要であるという認識が低下しました。本研究により、「糖尿病療養指導
カードシステム」と「SMBGビューワー」を用いた糖尿病教育・支援の有効性が示唆さ
れました。
本研究成果は、2021年7月30日にアジア糖尿病学会機関誌「Journal of Diabetes
Investigation」(オンライン版)で公開されました。
詳細はこちらをご覧ください(PDFファイル)→positive2SMBG プレスリリース
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