臨床腫瘍研究部

部長     柳原 一広
Director   Kazuhiro Yanagihara, MD, PhD

関西電力医学研究所 臨床腫瘍研究部 部長
関西電力病院 腫瘍内科 部長
関西電力病院 外来化学療法室 室長

研究部概要

臨床腫瘍学とはPatient-orientedの学問であり、日常診療の中で患者を診療し、その有害事象を診療毎にデータベース化し、そのアウトカム・リサーチから仮説を導き、ランダム化比較試験による臨床試験で検証していくことが、患者の予後の改善につながり、標準的治療を開発する道筋となる。日常診療の体制下にデータを積み上げていくことで初めて新たな仮説が生まれ、その仮説を検証するための臨床試験が行われる。

臨床腫瘍学の中で薬物療法を鑑みると、新規抗がん薬が次々と開発され、分子標的薬が抗がん薬治療の中心となっている現代では、抗がん薬治療の個別化が進む一方で、殺細胞性抗がん薬のみを使用していた時代には想像し得なかった副作用が出現するようになっている。こうした個別化医療の進む中、腫瘍および宿主のゲノム情報が薬物の効果予測因子や副作用の予測因子、並びに予後予測因子となることが判明してきており、ゲノム情報と統合し臨床情報を解析していくことで新たな知見が生まれてくる。

そのためにもがん登録データを二次利用して臨床情報のデータベースを構築し、これに血液生化学データや効果・副作用情報を集約していくことにより、真のがん患者のデータベースを完成させることが可能となる。このデータベースに前向きに患者の同意の下に採取する患者血清から得られるゲノム情報を統合して解析することにより、薬剤や疾患に特化した治療効果あるいは副作用の予測因子や予後予測因子が得られてくる可能性が高い。

このようながん患者のデータベース構築と前向きなゲノム解析が今後のがん治療には必要であり研究をすすめるものである。

最近の代表的な論文

著者 論文題目
Terazawa T, Kato T, Goto M, Ohta K, Satake H, Noura S, Kagawa Y, Kawakami H, Hasegawa H, Yanagihara K,Shingai T, NakataK, Kotaka M, Hiraki M, Konishi K, Nakae S, Sakai D, Kurokawa Y, Shimokawa T, Tsujinaka T, Satoh T. The Phase II Study of Panitumumab in Chemotherapy-Naïve Frail or Elderly Patients with RAS Wild-type
Colorectal Cancer:
OGSG 1602 Final Results

 

2022年度業績

原著論文(英語/日本語)

著者 タイトル 掲載誌名
掲載号等・掲載年
Terazawa T, Kato T, Goto M, Ohta K, Satake H, Noura S, Kagawa Y, Kawakami H, Hasegawa H,
Yanagihara K, Shingai T, Nakata
K, Kotaka M, Hiraki M, Konishi K, Nakae S, Sakai D, Kurokawa Y, Shimokawa T, Tsujinaka T, Satoh T.
The Phase II Study of Panitumumab in Chemotherapy-Naïve Frail or Elderly Patients with RAS
Wild-type Colorectal Cancer:
OGSG 1602 Final Results
The Oncologist
Advance access publication 10 August 2022

 

学会(国内)招待講演、シンポジウムのみ記載

会名称 発表テーマ 発表者
日程 場所
第20回日本臨床腫瘍学会 JASTRO-JSMO合同シンポジウム ペプチド受容体放射線核種療法(PRRT):腫瘍内科の立場から 柳原一広
2023.3.17 マリンメッセ福岡B館2階

 

メンバー

部長 柳原 一広
上級特別研究員 古武 剛
上級特別研究員 竹下 純平
特別研究員 坂元 宏匡
特別研究員 足立 靖樹
研究員 天野 佑美
研究員 十三 且也